ブオンジョルノ







「おはよう白哉」

情事の後が残る布団、外は爽やかな朝。
閉め切った部屋は空気がこもり息苦しい。熱い。
俺は白哉の白い肩をゆする。

「んん…」

髪留めで抑えられていた髪の毛は自由に動き回る。
艶のある黒髪が、白い布団の上で散らばった。

「白哉ってば。起きろよ」

眠たげに瞼を持ち上げる白哉。
瞳は俺を必死に探して、眠たくてだるい癖にキョロキョロと動く。
実に愛らしい。
自分の居場所を知らせるように、俺はゆっくり起き上がった。

「…」

俺の姿を確認すると白哉は二度寝を決め込む。
いつもの事ながらこれには苦労させられるのだ。

と、邪魔が入る。

ピピピと機械音が聞こえ出した。
紛れもなく俺の上着の下敷きになっている畳から聞こえる。

「チ…」

のそりと手を伸ばし、通話のスイッチを押す。
不機嫌そうな声を相手に浴びせようと口を開いた瞬間、
先に相手に喋られた。

『隊長?!今どちらですか?昨日の書類出っ放しなんですけど!』

音割れしそうな程の大きな声で、
部下の一人が喋くる。
俺は目を閉じて眉間にしわを寄せた。

「あー…済まん。今から行く」

忘れていた書類の片づけをしている自分を想像してうんざりする。
すぐに着替えて行かなければならなくなった。

「白哉…」

頬を触る。
少し目を開けた白哉は、目線だけをこちらに寄越す。

「俺行くけど」

何も言わずにこちらを見る。
口元は布団に隠れていて見えない。
つつくと身動ぎした。

立ち上がって散らばった衣服を拾う。
身支度を整えている間も、白哉は俺を見ているだけだった。
非番だったかと疑問にも思ったが、
別にどうでもいいので気にしない事にした。

「浮竹」

身支度が終わって障子に手をかけたところで、声を掛けられる。
いってらっしゃいとでも言うのかと思って振り向けば、
すぐそこに立っていて驚いた。

「いってくる」

「ん」

矢張り顔は眠たそうで、
俺が出て行ったらもう一度寝るんだろうなと思う。
白哉は少し笑った。

「いってらっしゃい」

本当に言うとは思っていなくて、
正直目を回すほどの衝撃だった。
一気に愛しさがこみ上げて、
この場で組み敷きたい程だったが、理性はそれを許さなかった。

「…ああ」

せめて力いっぱい抱きしめたい。
けれどそれをするともう出られない気がした。
俺はいつも通りの笑みを顔に貼り付けて、
白哉の頭をポンポンと叩いて障子を開けた。

朝の光はとてもまぶしく、思わず目を細める。
足早に部屋を後にすると力が抜けてしまって廊下にへたり込んだ。

「…反則だろが…」

そのまま部下に発見されるまで俺は動かなかった。
その頃には日はすっかり高くなってしまっていたのを、
俺が知ったのは夜になってからだった。



ボンジョールノー!!(うっさい) 長くするかどうかで迷いました。20題第1作目でございます。 電話の部下は多分清音ちゃんかと。 発見した部下は小椿さんかと。 ていうか白哉がいってらっさいとか言うトコ全然想像つきませんな…;
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