※パロです





ファッリーレ アッボットナーレ


やれ仕事だ、やれ付き合いだ等と最近奴は帰ってこない。
まるで女みたいに“ルームメイト”になりたいと言ったのは奴なのに。
2LDKのマンションを買って、住みだしてまだ2ヶ月。
これでは私が帰りを待つ女のようではないか。

「…」

本日何度目かのため息をつく。
仕事から帰って、食事をする気にもならなくてソファに寝そべる。
外は真っ暗だというのに、カーテンを閉める気力もない。

ぼんやりと携帯電話を見つめる。
固定電話を置いていないので、連絡手段はコレしかない。
でも、今日は遅くなるとも何ともない。
いつもならばさっさと連絡を寄越すのに。
すでに時計の短針は2を指している。
定時のはずがない。

「うきたけ…」

ボソッと呟く。
刹那、玄関から鍵を開ける音が聞こえた。
驚いて起き上がって、首だけを玄関の方へ向けた。

「ただいまッ!起きてたのかぁー」

阿呆面をしてふらふらと部屋にはいってくる。
浮竹は私より朝が早いので、何だか久しぶりに顔をみた気がする。

「…遅かったな」

「あ?ああ。ちょっと残業」

「ちょっと、で済む時間帯か」

ようやく動く気になれたので、コーヒーでも淹れようと立ち上がる。
あ、と浮竹が声を上げた。

「どうした」

見やれば浮竹は照れくさそうに笑った。
意味がわからず眉間にしわを寄せれば、あわてたように説明しだした。

「アハ、ボタンが段違いだった」

どうでもよすぎて脱力した。
大きくため息をついてキッチンへ入る。
ガスコンロにヤカンを置いて、火をつけた。

「ああー…もーワイシャツもないや」

「…?洗濯はしてないのか」

聞けば時間がないとかえってきた。
暫く黙っていると湯が沸いたので、コーヒーを二人分淹れた。

「…忙しいのか」

「それなりにね…」

つまらない。
思って投げ出された背広のポケットをあさる。
浮竹は苦笑した。

「別に浮気してないって」

「馬鹿」

本当にハンカチと全然減ってない煙草が出てきた。
他には何もなかった。
浮竹の方を見ると段違いに掛けられたボタンはそのままだった。
コーヒーを口に含んで一息つく。

「なあ白哉」

「何だ」

寂しい?

急に聞かれて、まだ熱いコーヒーを噴出すところだった。
飲み下して、少しむせる。

「何を急に。そんなわけないだろう」

「俺寂しいよ」

真っ直ぐ見つめられて言葉に詰まる。
いつもの阿呆面が隠れてしまって、真面目な顔をするから。
急に不安になった。
太い眉根は寄せられ、目には少々の悲しみがあった。

「…浮竹」

「もっと一緒に居たいと思ってるよ」

同じ職場だったら良かったのに。
言われて、どうしようもなく切ない。
唇を噛んで、苦しさに耐える。

「浮竹…」

「仕方ないのかなぁ」

机に突っ伏す浮竹に、少しだけにじり寄って、少しだけもたれる。
温かさが逆に寂しい。
今すぐ抱きついて抱きしめて接吻をして―
そんな衝動にもかられたけれど、もう寝ないと明日も仕事。
浮竹もそれはわかっているのか、何もしてこない。

「…浮竹」

「何」

言いたい事を飲みこんで、一言だけ、やっと出した。

「ネクタイの結び目も変だぞ」


パパパッパロだ! ファッリーレは失敗するという意味です…ハイ。 何だろうこの高層マンションっぽい感じ… ていうか白哉はマンションなんかにすまないですよね;
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