ラッフレッダート ポルパストゥレッロ




「隊長、今戻りました」

返事より先に襖を開けて、隊長の姿を確認する。
隊長は布団に横たわってこちらを見ていた。
俺に怪我がないか聞いてきて、
ないと言えばにっこりと笑った。

「最近忙しいね」

ゆっくりと上体だけを起こし水を飲む。
寝ていたらしく、声が低い。

「そうッスねー…でも十三番隊だから平気ですよ」

なんたってこき使われるのはなれてますから。
俺は言って枕もとの空になった薬の包みを手に取る。
隊長は苦笑いをして返事にした。
すっかりと、やつれている。

「隊長こそ最近具合悪いみたいですけど」

「んー」

こっそりと置いてある卯の花隊長からの手紙を目の端に、
俺は隊長の顔を見た。
痩せて、活気がないのは見て取れる。
全くこれで隊長なのだから不思議だ。

「なあ海燕」

「はい?」

「いつも済まんな」

急にそんな事を言うもんだから、
驚いて弄んでいた包み紙を落とす。

「何ですか急に。気持ち悪い」

「ははは」

隊長はまた布団に寝転んだ。
こうやって喋るのも負担なのかもしれない。

「海燕、もう帰る?」

すっぽりと口元まで布団で隠す。
目だけを俺に向けてぼそっと問われた。
別に―何もないし。

「隊長が居ろってんだったら俺は居ますけど」

目が少し笑った。
照れくさそうにも、嬉しそうにも見えた。
一日中布団の中、しかも治療時以外は一人なのだから。
寂しいのは仕方ないだろうなと俺は思った。

「…隊長は」

「え?」

「隊長は、寂しがりやですね」

笑んで言うと、隊長は顔を布団から出した。
眉を持ち上げて、しょーがないだろ、と言った。
手を伸ばしてくるので握ってやればまたにっこりと笑った。

「冷たいだろ」

俺は頷く。

「足もなんだ」

もう一度頷く。
指先は特に冷たい。

「海燕は手温かいな」

「幼児体温ってヤツです」

「じゃあ懐炉みたいだな」

アハハ。
笑う声も乾いている。
俺は手を握る力を強めた。

「寒いよ海燕」

段々。
顔は笑っているのに声は暗い。
泣きそうな、悲痛な訴えで。

「隊長」

手を頬に当ててやれば、やはり冷たく。
ぞっとするような触感に胸が詰まる。
俺の体温に縋るように擦り寄ってくる隊長はいつもの明るさはなくて。
早く治ればいいのにと無責任にも思う。

「んっ?海燕?」

もぞりと布団にもぐりこむ。
先刻まで仕事をしていたので少々俺は汗臭かった。
ずっと寝ていたはずなのに布団の中も冷ややかだった。

「温かいっしょ。添い寝」

大の男二人が添い寝なんて絵にもならないけれど、
一緒に居なきゃ消えてしまいそうなほど儚い。
俺が、存在を確認し続けなきゃいけない。

「…温かいよ」

「あはは。隊長冷たいっすねぇ」

少しだけ体をくっつけて。

隊長が眠ってしまったところで俺は妻にメールを送る。

『今日残業だから帰れない』

これは仕事じゃないけど。
俺が選んだ事だし。
でもほっとけない程弱る隊長も悪い。

少しずつ体温を分けながら、俺も目を閉じた。


茨!!!! 海浮なんてどうですかッッ!(目覚めた) 海燕って殆ど描写したことないんですよね… どうしても一護になってしまう。 だから海ルキは描けなかったんですけど。 サイトカポーに入れようかなぁー。 ていうか抱きしめてねぇ
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