そもそも、感覚が違うのだと思う。


第一組、席番号一、二、三。
三人はいつもそこに座っている。
それはいつもの事なので誰も何も言わないし、
何も気に留めはしない。
三人は優秀であったから。
只、性格には少々難ありと教師間では囁かれていた。

大貴族朽木家跡取り―朽木白哉。
全てのものを見てきたかのように喋り、教師には反抗。
試験は全教科一位。運動神経も申し分無し。
卒業後は護廷十三番隊への配属必至。
それをリーダー格に、浦原喜助、浮竹十四郎の三人は、
教師を、学友を、周囲を困らせた。

まず白哉は浮いていた。
他人とのかかわりを苦とし、自分の世界を築き上げていた。
喜助は他人と上手く付き合えるものの、
特異な趣味を持ち、興味のある事は何でもした。
例え、それが己を傷つけようとも厭わなかった。
そして十四郎は病弱の癖に動きたがった。
事ある毎に吐血しながらも周囲の心配を余所に遊びまわっていた。

誰が見てもおかしな組み合わせの三人を、
誰もが認め、放任された。

時折姿を見せる四楓院夜一も三人を認めており、
よくつるんだ。

「しかし成長せん男じゃのう」

昼休み。
中庭、石碑の前に四人で座り昼食をとる。
夜一はたまたま来ていた。

「人嫌いは治らぬか」

褐色の脚が内腿まで惜しげもなく晒されている。
目のやり場がないと十四郎は思った。

「仕方ないよ。夜一サン」

喜助は首を振りながら白哉の弁当箱の中身をひょいひょいと奪っている。
二つ目の出汁巻きに手を出したところで、
肘鉄を食らった。

「貴公らに何か迷惑をかけたか」

あからさまに不機嫌な空気を放つ白哉に、
夜一は子供を見るような目を向けた。

「そのままでは自分が困ると言うておる」

妖艶に笑うとそれだけ言う。
脚を組みなおし、水筒を呷った。
中身を飲み干したところで立ち上がり、
尻についた砂を払う。

「ではわしはもう行く。またな」

バイバーイ。
喜助と十四郎は声をそろえて手を振った。
白哉は後味の悪そうな顔で後姿を眺めていた。

「でも朽木、アタシもそう思うよ」

数度瞬きをして、喜助が言った。
自分の弁当は、とうに二時限目に平らげていた。

「喜助は夜一さんの言う事には全部賛成するね」

それまで殆ど喋らなかった十四郎はふと問うた。

「それは感性が一致してるから」

運命なのよん。とまるで女性のような仕草で言う。
白哉は喜助のそういうひょうきんなところが苦手だった。

「ツーカーってやつだね」

「何それ」

片仮名の単語に首をかしげる。
十四郎の長い銀髪がぱらぱらと肩から落ちた。
喜助は得意そうに鼻息を荒くする。

「こないだの現世実習で地縛霊の恋人の会話聞いちゃったんス」

卑猥だったー。
事細かに説明しだした喜助と興味津々な十四郎を、
白哉は軽蔑のこもった目で見続けていた。
弁当箱の中身がなくなったところで、箸を置く。

「兄らには品性と言うものがないのか」

ようやく話に入ってくるかと思いきやあっさり水を差された。
二人は顔を見合わせ、なにやら目で会話してから、
白哉を見た。

「朽木だって大したことないでしょ」

アタシたちといる時点で誰も白哉が上品な奴だなんて思っていないよ。
喜助の言葉にうんうんと十四郎も頷いた。
ここに夜一がいたら、大爆笑していたところだ。

「…兄らと一緒にするな」

白哉はそれだけ言って弁当箱を片した。
丁寧に包んで、手提げに入れる。

「白哉、放課後いつもの所ね」

立ち上がった白哉に十四郎が声をかけた。
どうせ教室で隣に座っているのに、
伝言はいつも外でだった。

「行くものか」

歩き始めた背中を、何も言わずに見つめる。
来るのだ。放課後に、馴染みの茶屋に。
決まって夕刻まで三人で茶を飲み、語る。
毎日飽きもせずに。
朽木家の門限まで。

「…浮竹」

「何」

午後の授業は実習がある。
長髪をまとめ始めた十四郎は、目も向けずに受け答えする。

「朽木って実はアタシたちの事大好きだよね」

「だね」

首の後ろで一つに束ねる。
喜助はその髪を見る。

ぼんやりと空を見て、ため息を漏らす。
充実した毎日。このまま続きますようにと十四郎は思う。

「そろそろ鐘が鳴るよ」

「うん。…行こうか」

白哉が教室で待ってる。
二人は立ち上がって歩き始めた。


捏造第一弾(笑) 最初の方と最後の方が何か話が違うのは、 予定がガラリと変わった所為です。バランス悪。 とりあえず三人は仲良し。
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